数字で見るパリ~ルーベ プレビュー
春の石畳系クラシックの締めくくりといえば、パリ~ルーベだ。
石畳レースの中でも最長、最難関を誇るこのレースでは、毎年波乱が起きる。
もっとも記憶に新しいのは、2016年のマシュー・ヘイマンだろう。
最初から逃げに乗っているにも関わらず、最終的には自らアタックし、王者ボーネンとの一騎打ちに持ち込んだ(最終的には五人での争いとなったが)。
そして、先に仕掛けてそのままボーネンに対して抜かれることなく、勝利をもぎとった。
マシュー・ヘイマンは特段石畳系に優れているというわけではない。
パリ~ルーベ前後のレースを見ても、目だった成績はない。
そんな選手でも、いやそんな選手だからこそチャンスがあるのがこのパリ~ルーベだ。
今回は、今年のパリ~ルーベに登場する29のセクターの全プロフィール、そして注目選手を紹介しよう。
29.Troisvilles à Inchy 2.2km ★★★
28.Viesly à Briaste 3.0km ★★★
27.Saint-Python 1.5km ★★★
26.Fontains-au-Tertre à Quiévy 3.7km ★★★★
25.Saint-Hilaire à Saint-Vast 1.5km ★★★★
24.Saulzoir à Verchain-Maugré 1.2km ★★
23.Verchain-Maugré à Quérénaing 1.6km ★★★
22.Quérénaing à Famars 2.5km ★★★
21.Maing à Monchaux-sur-Écaillon 1.6km ★★★
20.Haveluy à Wallers 2.5km ★★★★
19.Trouée d'Arenberg 2.4km ★★★★★
18.Wallers à Hélesmes 1.6km ★★★
17.Hornaing à Wandignies 3.7km ★★★★
16.Warlaing à Brillon 2.4km ★★★
15.Tilloy à Sars-et-Rosières 2.4km ★★★★
14.Beuvry-la-Forêt à Orchies 1.4km ★★★
13.Orchies 1.7km ★★★
12.Auchy-lez-Orchies à Bersée 2.7km ★★★★
11.Mons-en-Pévèle 3.0km ★★★★★
10.Mérignies à Avelin 0.7km ★★
9.Pont-Thibaut à Ennevelin 1.4km ★★★
8.Templeuve (Moulin-de-Vertain) 0.5km ★★
7.Cysoing à Bourghelles 1.3km ★★★
6.Bourghelles à Wannehain 1.1km ★★★
5.Camphin-en-Pévèle 1.8km ★★★★
4.Carrefour de l’Arbre 2.1km ★★★★★
3.Gruson 1.1km ★★
2.Willems à Hem 1.4km ★★★
1.Roubaix 0.3km ★
今年の勝負所は、と聞かれると全部になってしまうのだが、
あえて挙げるとしたら5つ星の区間だろう。
特にセクター11のMons-en-Pévèleは、3kmと長い。
最終的に先頭に残るメンバーは出来るだけ高い順位でここを突破したいはずだ。
そしてなんといっても最後の競技場だ。
実はここ3年間、独走逃げ切り勝利というのは起きていない。
どれも最後のスプリントで決まっている。
最後に待ち受ける競技場勝負も大きな見所になってくるだろう。
では、注目選手を紹介していく。
・ジョン・デゲンコルブ(TFS)
2015年、競技場のスプリント勝負でパリ~ルーベを制したのが、このデゲンコルブだ。
今シーズンはHCクラス以上での勝利こそないものの、調子の良さは伺える。
・アルノー・デマール(FDJ)
2016年のヘント~ウェヴェルヘム5位、去年のパリ~ルーベでは第二集団の先頭で6位フィニッシュをしている26歳。着実に石畳の力をつけており、今年のパリ~ニースの第一ステージ石畳の登りスプリントでも勝利している。
ツール・ド・フランスなどのスプリントステージでも勝利しており、スプリント力は世界屈指の実力者だ。
・ペーター・サガン(BOH)
三年連続アルカンシェルで、ピュアスプリンターにも劣らないスプリント力、パンチャーに匹敵する登坂力、さらには随一のレース巧者としても知られている。
2016年のロンド・ファン・フラーンデレンの覇者で、今年もヘント~ウェヴェルヘムを勝っている。
個の力では圧倒的だが、どうしても気になるのはチーム力。ボーラ・ハンスグローエには有力な石畳アシストが少ない。今シーズンのクラシックレースではその差が大きく出ている。
・フィリップ・ジルベール、ニキ・テルプストラ(QST)
今シーズンクラシック絶好調のクイックステップ。
エースを担っているのはフィリップ・ジルベールだ。
去年のロンド・ファン・フラーンデレン勝者だが、今シーズンは未勝利。
無論調子が悪いわけではない。
もう一人挙げたニキ・テルプストラなど、抑え役として力を発揮しているのだ。
そのニキ・テルプストラ。
今シーズンはル・サミン、E3ハーレルベーケ、ロンド・ファン・フラーンデレン勝利と絶好調。『パリ~ルーベはここ3年独走逃げ切り勝利は決まっていない』と前述したが、直近の逃げ切り勝利を挙げたのは2014年、このニキ・テルプストラである。
そしてクイックステップはランパート、スティバルなどのアシスト陣も強力。
『クラシック最強軍団』の名に恥じないメンバー構成となっている。
・ワウト・ファンアールト(WIL)
シクロクロスからロードに転向した選手で、早速ストラーデ・ビアンケでは3位、ロンド・ファン・フラーンデレンでは9位と良い成績を収めている。
未舗装路や石畳の走破力はシクロクロス選手ならではで、プロコンチネンタルチームながらも、大金星候補筆頭だ。
・オリバー・ナーセン(ALM)
去年今年と未勝利ながらも、E3ハーレルベーケ4位、ヘント~ウェヴェルヘム6位、ロンド・ファン・フラーンデレン11位と、好調だ。
石畳走破力と有力なアタックに飛びつくレース勘は随一。
・フレッフ・ヴァンアーヴェルマート(BMC)
去年のパリ~ルーベ覇者で、ほかにもオムループ・ニウスヘラッドや、E3ハーレルベーケ、ヘント~ウェヴェルヘムなど圧倒的な成績を残した。
今シーズンは目立った勝利はないものの、E3ハーレルベーケ3位、ドワーズドール・フラーンデレン8位、ロンド・ファン・フラーンデレン5位と、好調が伺える。
注目選手は以上だ。
前述したとおり、誰が勝つかわからないのがパリ~ルーベの魅力だ。
今年は誰が勝利の石を掲げるのか、非常に楽しみだ。