数字で見るサイクルロードレース

主にWTの自転車レースを数字で読み解く。

数字で見るシーズン序盤振り返り・それぞれの課題点 その1

リエージュ~バストーニュ~リエージュは、クイックステップのボブ・ユンゲルスの勝利で幕を閉じた。

そしてリエージュ~バストーニュ~リエージュの終了はクラシックシーズンの終了を意味する。

 

これからはステージレース。そしてジロ・デ・イタリアの開幕も近い。

 

今回は、UCIポイントランキングを参考に、各チームのシーズン序盤の振り返りを行っていく。

まずは1位から6位までだ。

 

なおポイントはリエージュ~バストーニュリエージュ終了時点のもの。

 

 

 

1.Quick-Step Floors  

Points:6927

 

勝利レース

1.ツアー・ダウンアンダー(2.UWT)St.3 エリア・ヴィヴィアーニ

2.ブエルタ・サン・フアン(2.1)St.1 フェルンナンド・ガビリア

3.ブエルタ・サン・フアン(2.1)St.4 アリエル・リケーゼ

4.コロンビア・オロ・イ・パス(2.1)St.1 フェルナンド・ガビリア

5.コロンビア・オロ・イ・パス(2.1)St.2 フェルナンド・ガビリア

6.コロンビア・オロ・イ・パス(2.1)St.3 フェルナンド・ガビリア

7.コロンビア・オロ・イ・パス(2.1)St.4 ジュリアン・アラフィリップ

8.ドバイツアー(2.HC)St.2 エリア・ヴィヴィアーニ

9.ドバイツアー(2.HC)St.5 エリア・ヴィヴィアーニ

10.ドバイツアー(2.HC)総合 エリア・ヴィヴィアーニ

11.アブダビツアー(2.UWT)St.2 エリア・ヴィヴィアーニ

12.ル・サミン(2.1) ニキ・テルプストラ

13.ドワーズ・ドール・ウエスト・フラーンデレン(2.1) レミ・カヴァーニャ

14.ノケレ・クルス(1.HC) ファビオ・ヤコブセン

15.ハンドザーメ・クラシック(1.HC) アルバロ・オデッグ

16.ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ(2.UWT)St.1 アルバロ・オデッグ

17.ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ(2.UWT)St.6 マキシミリアン・シャフマン

18.デパンネ三日間(1.HC) エリア・ヴィヴィアーニ

19.レコードバンク・E3・ハーレルベーケ(1.UWT) ニキ・テルプストラ

20.ドワーズ・ドール・フラーンデレン(1.UWT) イヴ・ランパールト

21.ロンド・ファン・フーランデレン(1.UWT) ニキ・テルプストラ

22.イツーリア・バスク・カントリー(2.UWT) ジュリアン・アラフィリップ

23.イツーリア・バスク・カントリー(2.UWT) ジュリアン・アラフィリップ

24.イツーリア・バスク・カントリー(2.UWT) エンリック・マス

25.スヘルデプライス(1.HC) ファビオ・ヤコブセン

26.フレッシュ・ワロンヌ(1.UWT) ジュリアン・アラフィリップ

27.リエージュ~バストーニュ~リエージュ(1.UWT) ボブ・ユンゲルス

 

 

こうやって勝利レースを書き出すだけでも長いほど、去年同様圧倒的なスタートを切ったのがクイックステップだ。なんと二位のミッチェルトン・スコットに対して2800ポイント強の差をつけている。

去年のこの時点での勝利数は24と既に上回っている。しかも今年はクラシック最強軍団の名に劣らないクラシック勝利数を誇る。

 

何と言っても北のクラシックで勝利を重ねることができたのが大きい。

その要因となったのはもちろんロンド、E3勝利のニキ・テルプストラの強さもさることながら、チーム全体のクラシック班の質の高さと言えるだろう。

 

レース中盤、他のチームがアシストを二枚ほどに減らしている中で三枚以上残しているクイックステップ。そして終盤にも二枚は確実に残している安定感。

質の高さによる数の強さ。去年は生かしきれなかった部分を今年は存分に生かし切った。

 

 

ここまで書いたクラシック班の活躍は注目されがちだが、今年も十分にスプリンターが勝利を挙げている。

エリア・ヴィヴィアーニとフェルナンド・ガビリアだけで10勝。

ガビリアはティレーノ~アドリアティコでの落車からかなりの間レースから離れていたことを見てもスプリンターチームクイックステップここにありという勝利数だ。

 

それではここからのステージレースシーズンはどうなるだろうか。

 

ダニエル・マーティンの移籍により、山岳系ステージレースで総合を狙える選手がほとんどいなくなってしまった。

ジュリアン・アラフィリップは未だに健在なものの、長い登坂では今シーズンも遅れを見せている。

 

となるとやはりスプリントステージでの勝利だといえるだろう。

ヴィヴィアーニとガビリア。まともなスプリントでは今シーズン負けることのほうが珍しい二人が、どれほどの爆発力を見せるか注目だ。

 

・今後の課題点

 

特になし。陣容を考えてもここから失速は免れないが、スプリントでの十分な勝利数が期待できる。

 

 

 

 

2.Mitchelton-Scott

Points:4052

 

勝利レース

1.ツアー・ダウンアンダー(2.UWT)St.2 カレブ・ユアン

2.ツアー・ダウンアンダー(2.UWT)総合 ダリル・インピー

3.ヘラルド・サンツアー(2.1)St.3 エステバン・チャベス

4.ヘラルド・サンツアー(2.1)総合 エステバン・チャベス

5.クラシカ・デ・アルメリア(1.HC) カレブ・ユアン

6.パリ~ニース(2.UWT)St.7 サイモン・イェーツ

7.ティレーノ~アドリアティコ(2.UWT)St.5 アダム・イェーツ

8.ボルタ・シクリスタ・カタルーニャ(2.UWT)St.7 サイモン・イェーツ

 

 

個人的には意外な二位。

何といってもツアー・ダウンアンダーでのダリル・インピーの総合優勝が大きいか。

去年に比べるとどうしてもカレブ・ユアンの勝利の少なさが目に付くが、ユアンは今様々な条件に対応するための変化を行っている。

ミラノ~サンレモで二位に入ったのがその証拠だ。

 

そしてチャベスとイェーツ兄弟によるステージ勝利と総合。

大事なところでの遅れは目立つものの、UWTクラスのレースでここまでの勝利数を重ねられていることは大きい。

 

逆に言えば、クラシック班やパンチャー系の選手があまり勝つことができなかった。

クロイツゲルやアルバジーニなど、十分に勝利を狙える選手が揃っていたものの、もうひと伸びに欠けていた。(それでもアムステル二位、ワロンヌ四位は十分な成績と言えるが)

 

 

・今後の課題点

 

課題となるのはグランツールや中規模ステージレースでの総合優勝狙いだ。

 

チャベスとイェーツ兄弟。

登坂力で言えば十分に総合を狙える選手なのだが、どうしてもTTの遅さが目に付く。

ポディウムや上位には上がってくるものの、総合優勝には届かないというのがここまでのところだ。

そこを改善してビッグレースでの勝利なるか。

 

 

3.BORA-hansgrohe

Points:3997

 

勝利レース

1.ツアー・ダウンアンダー(2.UWT)St.4 ペーター・サガン

2.カテル・エヴァンス・グレイトオーシャンレース(1.UWT) ジェイ・マッカーシー

3.ヘント~ウェヴェルヘム(1.UWT) ペーター・サガン

4.イツーリア・バスク・カントリー(2.UWT)St.3 ジェイ・マッカーシー

5.パリ~ルーベ(1.UWT) ペーター・サガン

 

 

 

見ての通り、勝利はジェイ・マッカーシーペーター・サガンのみ。

去年は個人の力が強いチームだという印象はあったが、今年はしっかりアシストが機能しているというのが大きな点だろう。

 

特にパリ~ルーベでのユライ・サガンやマルカス・ブルグハートの活躍は見逃せない。

 

そしてサガンの活躍に目を取られがちだが、ジェイ・マッカーシーの躍進も目を見張るものがある。

去年未勝利から一気に今シーズン二勝。そしてどちらともUWTクラス。

ジェイ・マッカーシー本人としても最高のスタートを切れたといえるだろう。

 

 

・今後の課題点

 

課題は何と言ってもこの二人以外の勝利がないという点だ。

 

ここからのステージレースシーズンは、チームとしての力が今まで以上に重要になる。

未だに今シーズン未勝利のラファル・マイカサム・ベネット。チームに勢いを与えるとするならばこの二人になってくる。

 

さらに、去年はまさかの失格により逃したサガンのマイヨヴェール獲得も大きな目標になってくるだろう。

今年のツールは厳しい山岳ステージも多い。ブエルタのポイント賞のような事態になる可能性も踏まえると、より一層アシスト陣の力が必要になってくるはずだ。

 

 

 

4.Movistar Team

Points:3887

 

勝利レース

1.ボルタ・ア・バレンシアナ(2.1)St.2 アレハンドロ・バルベルデ

2.ボルタ・ア・バレンシアナ(2.1)St.4 アレハンドロ・バルベルデ

3.ボルタ・ア・バレンシアナ(2.1)総合 アレハンドロ・バルベルデ

4.コロンビア・オロ・イ・パス(2.1)St.6 ダイヤー・キンタナ

5.アブダビツアー(2.UWT)St.5 アレハンドロ・バルベルデ

6.アブダビツアー(2.UWT)総合 アレハンドロ・バルベルデ

7.ティレーノ~アドリアティコ(2.UWT)St.4 ミケル・ランダ

8.パリ~ニース(2.UWT)総合 マルク・ソレル

9.ボルタ・シクリスタ・カタルーニャ(2.UWT)St.2 アレハンドロ・バルベルデ

10.ボルタ・シクリスタ・カタルーニャ(2.UWT)St.4 アレハンドロ・バルベルデ

11.ボルタ・シクリスタ・カタルーニャ(2.UWT)総合 アレハンドロ・バルベルデ

12.グラン・プレミオ・ミゲル・インデュライン(1.1) アレハンドロ・バルベルデ

13.クラシカ・プリマヴェーラ・デ・アモレビエータ(1.1) アンドレ・アマドール

14.ブエルタカスティーリャ・イ・レオン(2.1)St.1カルロス・バルベロ

 

 

アレハンドロ・バルベルデ

未だに衰えを見せない38歳が今年も爆発している。

脚質バルベルデと称されるそのオールラウンダーな脚質を生かして、ステージレースでの勝利を量産。チームとしては十分な立ち上がりに見える。

 

しかし、HC以上のワンデーレースの勝利がなかったのが唯一の心残りだろう。

 

特にフレッシュ・ワロンヌリエージュ~バストーニュ~リエージュでのバルベルデ

他の動きに翻弄されアシストを多く残すことができず、去年までの圧倒的な強さを今年は見せることができなかった。

 

とはいえ、このチームの勝負所はここからだ。

 

 

・今後の課題点

 

何と言っても、トリプルエースで挑むグランツールだ。

ランダ、バルベルデ、キンタナは過去最強の三人だと言っていい。

 

しかし、この三人や新星マルク・ソレルを生かして圧倒的な強さを発揮できるか?と言われるとちょっと首を傾げざるを得ない。

 

恐らくこの三人が最大の目標にしているのはツール・ド・フランスだろう。

そのツール・ド・フランスにはモビスターにとって大きな壁が存在する。

 

35kmにも及ぶ、TTTだ。

 

最強に見えるこのトリプルエース、弱点が一つ。TT能力が低いという点だ。

バルベルデはともかく、キンタナとランダ。

 

例えば去年のブエルタでのヴィンチェンツォ・ニバリのように、フルームなどの圧倒的なTT選手に対してある程度抑えられるのであればまだいい。

 

この二人は抑えることはおろか、大きく広げてしまう可能性すら存在している。

 

TTというのは距離が長くなるほど選手によっての差が大きくなる。

そしてTTTはチーム全体のペースに合わせて走らなければならない。

 

さらに、エースは"絶対に"置いていけない。

どういうことかと言うと、ランダやキンタナのペースにバルベルデもろとも引きずられる可能性があるということだ。

 

 

これが三週目のエースが確定している状態ならまだいい。

このTTは最初の総合争いだ。三人の山岳での走りの調子もわからないままでエースを切り離すことはまず難しいだろう。

 

エースの数を増やすというのは一見有効に見えて、逆効果になる危険性も存在している。

TTTでどれだけタイムを抑えて、三人全員を生かせる状態に持っていけるかが勝負の分かれ目だ。

 

 

 

 

 

5.Bahrain Merida Pro Cycling Team

Points:3355

 

勝利レース

1.ドバイツアー(2.HC)St.4 ソニー・コルブレッリ

2.GP インダストリア&アルティジアナート(1.HC) マテイ・モホリッチ

3.ミラノ~サンレモ(1.UWT) ヴィンチェンツォ・ニバリ

4.ツアー・オブ・クロアチア(2.HC)St.1 ニコーロ・ボニファッツィオ

5.ツアー・オブ・クロアチア(2.HC)St.3 カンスタンティン・シウトソウ

6.ツアー・オブ・クロアチア(2.HC)St.5 マニュエレ・ボアロ

7.ツアー・オブ・クロアチア(2.HC)総合 カンスタンティン・シウトソウ

8.ツアー・オブ・ジ・アルプス(2.HC)St.5 マーク・パデュン

 

 

 

今年、大躍進を遂げたチームの一つと言っても過言ではないのだろうか。

去年の最終UCIポイントランキングは十四位。

それもブエルタイル・ロンバルディアでのヴィンチェンツォ・ニバリの走りあってこそだ。

 

それが今年はすでに五位。

ミラノ~サンレモでのヴィンチェンツォ・ニバリの勝利がチームに勢いをつけた。

そして勝利選手を見てみると、ヴィンチェンツォ・ニバリとソニー・コルブレッリの二人が目立った昨シーズンとは違い、シウトソウを除けば全員違う選手が勝っている。

 

 

全体の勝利数で見てみるとつい最近のクロアチアでの大活躍が目に付くが、

パリ~ニースやバスクでのイザギーレ兄弟や、アルデンヌクラシックでのガスパロットの走り。

トップ10に入ったレースを見てみると、意外にもかなりの数がある。

 

かなりのメンバーで挑んだアルデンヌクラシックでの勝利はなかったものの、創立二年目のチームとして考えるとかなりの躍進だ。

 

 

・今後の課題点

 

今後はやはりツールに絞ったヴィンチェンツォ・ニバリのアシスト。

 

とはいえ、十分に強力なアシスト陣が揃っているだろう。

イザギーレ兄弟に移籍してきたポッツォヴィーヴォ、ブエルタで好アシストを見せたペリッツォッティ。

 

このメンバーだけ見ればチームスカイにも劣らない山岳アシスト陣営だ。

そしてTT能力も十分と言える。

 

 

少し気にかかるのは石畳のアシストか。

現状北のクラシックで上位に残ったハウッスラーかコルブレッリあたりがアシストに入ってくることが予想されるが、ニバリが他の総合系選手に対して大きなアドバンテージを持っているのがこの石畳。ここでのアシスト陣の活躍が総合を分けるといっても過言ではないだろう。

 

 

 

6.BMC Racing Team

Points:3219

 

勝利レース

1.ツアー・ダウンアンダー(2.UWT)St.5 リッチー・ポート

2.ボルタ・ア・バレンシアナ(2.1)St.5 ヤーゲン・ルーラン

3.ツアー・オブ・オマーン(2.HC)St.3 フレッフ・ヴァンアーヴェルマート

4.アブダビツアー(2.UWT)St.4(ITT) ローハン・デニス

5.ティレーノ~アドリアティコSt.1(TTT)

6.ティレーノ~アドリアティコSt.7(ITT) ローハン・デニス

 

 

 BMCは六位に入っているものの、スタートダッシュとしては満足ではないといえるだろう。

理由は間違いなく、フレッフ・ヴァンアーヴェルマートのクラシックでの不調。

去年の成績を考えるとここで良いスタートダッシュを切っておきたかったところだ。

 

しかし、TTでの強さは未だ健在。

今シーズンTT4戦3勝(NC含む)のローハン・デニスや、ティレーノ~アドリアティコでのTTTの勝利。ここからのステージレースシーズンでもその強さを発揮すると思われる。

 

 

・今後の課題点

 

ステージレースシーズン、今年も注目はリッチー・ポートだ。

 

復帰戦ダウンアンダーではコンマ差の総合二位。

確実に調子は取り戻している。

 

少し気にかかることと言えば、安定感。

リッチー・ポートはグランツールライダーとしては2016年から走っているが、逆に言えば、二年間しか積めていない。

 

ここまでのポートのグランツールの走りで目に付くのは、バッドデーでの異常な遅れだ。

グランツールは三週間という長さがあるため、どんな選手でも大体一日はバッドデーが存在する。

 

グランツールライダーはいかにしてそこでタイムを抑えるかが大事になってくる。

フルームなんかは去年のブエルタのバッドデーは上手く抑えることには成功していた。(元々のタイム差はあったが)

 

だが、リッチー・ポートはバッドデーでの遅れがあまりにも大きすぎるのだ。

最近だとイツーリア・バスク・カントリーがそれにあたる。

この時は調整段階であるのは間違いないだろうが、それでも7分遅れは総合系にとって致命的すぎる。

 

山岳チーム力に関しては物足りないといえるが、それ以上にポート個人の調子の安定感が大事になってくるだろう。

 

 

 

今回は一位から六位までを紹介した。

 

次回をやるかは未定。

思ったより勝利レースを書き出すのが面倒くさかった。

 

 

数字で見るパリ~ルーベ プレビュー

春の石畳系クラシックの締めくくりといえば、パリ~ルーベだ。

石畳レースの中でも最長、最難関を誇るこのレースでは、毎年波乱が起きる。

 

もっとも記憶に新しいのは、2016年のマシュー・ヘイマンだろう。

最初から逃げに乗っているにも関わらず、最終的には自らアタックし、王者ボーネンとの一騎打ちに持ち込んだ(最終的には五人での争いとなったが)。

そして、先に仕掛けてそのままボーネンに対して抜かれることなく、勝利をもぎとった。

 

マシュー・ヘイマンは特段石畳系に優れているというわけではない。

パリ~ルーベ前後のレースを見ても、目だった成績はない。

 

そんな選手でも、いやそんな選手だからこそチャンスがあるのがこのパリ~ルーベだ。

 

今回は、今年のパリ~ルーベに登場する29のセクターの全プロフィール、そして注目選手を紹介しよう。

 

29.Troisvilles à Inchy                          2.2km  ★★★

28.Viesly à Briaste                             3.0km   ★★★

27.Saint-Python                                 1.5km   ★★★

26.Fontains-au-Tertre à Quiévy         3.7km   ★★★★

25.Saint-Hilaire à Saint-Vast             1.5km    ★★★★

24.Saulzoir à Verchain-Maugré         1.2km    ★★

23.Verchain-Maugré à Quérénaing   1.6km    ★★★

22.Quérénaing à Famars                  2.5km    ★★★

21.Maing à Monchaux-sur-Écaillon   1.6km    ★★★

20.Haveluy à Wallers                        2.5km     ★★★★

19.Trouée d'Arenberg                       2.4km     ★★★★★

18.Wallers à Hélesmes                     1.6km     ★★★

17.Hornaing à Wandignies                3.7km     ★★★★

16.Warlaing à Brillon                         2.4km     ★★★

15.Tilloy à Sars-et-Rosières              2.4km     ★★★★

14.Beuvry-la-Forêt à Orchies            1.4km     ★★★

13.Orchies                                         1.7km     ★★★

12.Auchy-lez-Orchies à Bersée         2.7km     ★★★★

11.Mons-en-Pévèle                            3.0km     ★★★★★

10.Mérignies à Avelin                        0.7km     ★★

  9.Pont-Thibaut à Ennevelin             1.4km     ★★★

  8.Templeuve (Moulin-de-Vertain)    0.5km     ★★

  7.Cysoing à Bourghelles                 1.3km     ★★★

  6.Bourghelles à Wannehain            1.1km     ★★★

  5.Camphin-en-Pévèle                     1.8km     ★★★★

  4.Carrefour de l’Arbre                     2.1km     ★★★★★

  3.Gruson                                         1.1km     ★★

  2.Willems à Hem                             1.4km     ★★★

  1.Roubaix                                        0.3km     ★

 

 

今年の勝負所は、と聞かれると全部になってしまうのだが、

あえて挙げるとしたら5つ星の区間だろう。

 

特にセクター11のMons-en-Pévèleは、3kmと長い。

最終的に先頭に残るメンバーは出来るだけ高い順位でここを突破したいはずだ。

 

そしてなんといっても最後の競技場だ。

実はここ3年間、独走逃げ切り勝利というのは起きていない。

どれも最後のスプリントで決まっている。

最後に待ち受ける競技場勝負も大きな見所になってくるだろう。

 

 

では、注目選手を紹介していく。

 

・ジョン・デゲンコルブ(TFS)

 

2015年、競技場のスプリント勝負でパリ~ルーベを制したのが、このデゲンコルブだ。

今シーズンはHCクラス以上での勝利こそないものの、調子の良さは伺える。

 

・アルノー・デマール(FDJ)

 

2016年のヘント~ウェヴェルヘム5位、去年のパリ~ルーベでは第二集団の先頭で6位フィニッシュをしている26歳。着実に石畳の力をつけており、今年のパリ~ニースの第一ステージ石畳の登りスプリントでも勝利している。

 

ツール・ド・フランスなどのスプリントステージでも勝利しており、スプリント力は世界屈指の実力者だ。

 

ペーター・サガン(BOH)

 

三年連続アルカンシェルで、ピュアスプリンターにも劣らないスプリント力、パンチャーに匹敵する登坂力、さらには随一のレース巧者としても知られている。

2016年のロンド・ファン・フラーンデレンの覇者で、今年もヘント~ウェヴェルヘムを勝っている。

 

個の力では圧倒的だが、どうしても気になるのはチーム力。ボーラ・ハンスグローエには有力な石畳アシストが少ない。今シーズンのクラシックレースではその差が大きく出ている。

 

フィリップ・ジルベール、ニキ・テルプストラ(QST)

 

今シーズンクラシック絶好調のクイックステップ

 

エースを担っているのはフィリップ・ジルベールだ。

去年のロンド・ファン・フラーンデレン勝者だが、今シーズンは未勝利。

無論調子が悪いわけではない。

 

もう一人挙げたニキ・テルプストラなど、抑え役として力を発揮しているのだ。

 

そのニキ・テルプストラ。

 

今シーズンはル・サミン、E3ハーレルベーケ、ロンド・ファン・フラーンデレン勝利と絶好調。『パリ~ルーベはここ3年独走逃げ切り勝利は決まっていない』と前述したが、直近の逃げ切り勝利を挙げたのは2014年、このニキ・テルプストラである。

 

そしてクイックステップはランパート、スティバルなどのアシスト陣も強力。

『クラシック最強軍団』の名に恥じないメンバー構成となっている。

 

・ワウト・ファンアールト(WIL)

 

シクロクロスからロードに転向した選手で、早速ストラーデ・ビアンケでは3位、ロンド・ファン・フラーンデレンでは9位と良い成績を収めている。

 

未舗装路や石畳の走破力はシクロクロス選手ならではで、プロコンチネンタルチームながらも、大金星候補筆頭だ。

 

・オリバー・ナーセン(ALM)

 

去年今年と未勝利ながらも、E3ハーレルベーケ4位、ヘント~ウェヴェルヘム6位、ロンド・ファン・フラーンデレン11位と、好調だ。

 

石畳走破力と有力なアタックに飛びつくレース勘は随一。

 

・フレッフ・ヴァンアーヴェルマート(BMC)

 

去年のパリ~ルーベ覇者で、ほかにもオムループ・ニウスヘラッドや、E3ハーレルベーケ、ヘント~ウェヴェルヘムなど圧倒的な成績を残した。

 

今シーズンは目立った勝利はないものの、E3ハーレルベーケ3位、ドワーズドール・フラーンデレン8位、ロンド・ファン・フラーンデレン5位と、好調が伺える。

 

 

注目選手は以上だ。

前述したとおり、誰が勝つかわからないのがパリ~ルーベの魅力だ。

 

今年は誰が勝利の石を掲げるのか、非常に楽しみだ。

 

 

数字で見る(?)ミラノ~サンレモ 機材選択の重要性

5大クラシックレース『モニュメント』。

その一戦目であるミラノ~サンレモが開催された。

 

内容はハイライト動画などが後々上がると思うので、そちらを参照していただければ。

 

 

勝者は、ヴィンチェンツォ・ニバリ(TBM)。

去年のイル・ロンバルディアに続いて年跨ぎのモニュメント二連勝を飾った。

 

展開を簡単に説明すると、260km辺りまでは特に大きな動きはない。

これは例年通りだ。

 

問題は、266kmからのチプレッサの登りと、それを下ってからのもう一度プッジオの登り、そして下って2kmほどの平坦。

 

例年通りであれば、このチプレッサの登りからパンチャーのアタック、それもややクライマー寄りのパンチャーのアタックにより、集団は活性化する。

それにつき切れなかったスプリンターが脱落し、パンチャーによる終盤になる。

 

ただ今年は違った。

 

チプレッサの登りにおいて、FDJが強力な牽引。

ルノー・デマールの登り切れる適切なペースでの完璧な牽引だった。

例年であればここで仕掛けていたはずのヴィンチェンツォ・ニバリや、LL・サンチェスなどはその牽引からアタックをすることができなかった。

 

しかし、このニバリの判断はのちの展開を大きく変える。

 

FDJがコントロールするまま平坦区間、そしてプッジオの登りに突入する。

この時点で大半のスプリンターは残っており、誰もがスプリントフィニッシュを予想した。

 

 

この展開に黙っていないのがボーラ・ハンスグローエである。

ペーター・サガンはスプリンターではあるものの、集団スプリントフィニッシュとなったときに不安要素が多すぎるのだ。

ボーラはここまでの集団のコントロールでアシストを減らし、さらにはカレブ・ユアンやアルノー・デマールなどの強力なスプリンター、さらにはその発射台までもがしっかりと集団に残っていた。

 

それを看過できないボーラは、ブルグハートのアタックを利用して集団のペースをアップさせようと考える。

さらに、ヴァンアーベルマート擁するBMCのドラッカーも同様の理由でアタックする。

 

ブルグハートが吸収され、ドラッカーがアタックしたそのタイミング、カウンターとして逃げるには絶好のタイミングでアタックしたのが、ニバリである。

 

実はニバリ、例年チプレッサの登りでアタックしては、平坦区間で吸収されるということが続いていた。

その経験を生かして、今度はプッジオでアタックを仕掛けたのだ。

 

 

下りの名手でもあるニバリ。それを追いたい集団だが、けん制する形となってしまう。

その要因が、集団に残っていたソニー・コルブレッリだ。

 

 

元々スプリンターとしてバーレーンメリダに入ったが、徐々にそのワンデーレーサーとしての才能を開花させる。

WTクラスのワンデーレースでの大きな勝利こそ挙がっていないものの、数多く上位に残ってきた。それはミラノ~サンレモでも同様だ。

 

去年、ペーター・サガンのアタックに誰よりも早く反応したのはこのコルブレッリである。

このニバリのアタックに対して足を使ってしまうということは、コルブレッリに対して有利に働くということでもある。

 

そして、その時先頭にいたボーラ、スカイはアシストが少ない状況。

さらに言えば、チプレッサの登りで誰もアタックしなかったことにより、スプリントフィニッシュの可能性が出てきていた。

その展開においても、バーレーンメリダは発射台を一枚、そしてコルブレッリを残してしっかり順応できるようにしていた。

 

まさに、完璧なタイミングでニバリはアタックしたのだ。

 

 

さて、数字で見ていくのはここからだ。

まずはこちらの記事を見てほしい。

 

bikenewsmag.com

私がよく見るブログ、bikenewsmagより引用させてもらった。

ここには、エアロロードバイクヒルクライム用の軽量バイクの差について書かれている。

 

今回取り上げるのは重量の問題ではなく、エアロの問題である。

 

今まで、エアロロードバイクには様々な議論が交わされてきた。

果たしてエアロロードバイクは重量を捨てるほどのエアロ性能はあるのか?ということである。

 

結論から言うと、あった。

 

で、メリダはこの時のニバリの下りについて、実際乗ってたSculturaではなく同社のエアロロードバイクReactoならばどうなるかを計算した。

 すると、20秒の短縮が可能となった。つまり、17分15秒→16分55秒で下れると。キンタナからさらに20秒のボーナスを削れると。

 

エアロロードバイクというのは、特に下りや平坦で大きな力を発揮する。

この時ニバリが山岳バイクであるSculturaに乗っていたのかは不明だが、のちのレースをいくつか見てもわかるように、ニバリはSculturaを愛用している。

 

もっと言えば、私は2017年シーズンのニバリをよく見ていたつもりだが、メリダのエアロロードバイク、Reactoに乗っているのを見たのは一度もない。

 

それはやはり、フィーリングの問題でもあるのだと思う。

 

 

今回のミラノ~サンレモ、ニバリが乗っていたのは、Reactoだった。

そして、下りや平坦でその力を発揮し、逃げ切ることに成功した。

 

これはメリダのエアロロードバイクが素晴らしいという話をしているわけではない。

 

はっきり言って私はこのミラノ~サンレモにおいてニバリがReactoを選択していなかったら、逃げ切ることはできていなかったように感じた。

 

なぜニバリが勝つことが出来たか?

その要因は、ニバリの機材選択にもあったのだと思う。

 

 

機材選択でそこまでの差がつくか?と思われるかもしれないが、実際にある。

2016年、人々の記憶に残るフルームのダウンヒルアタックでは、フロントの歯数を52-36から54-36に変更していた。

 

 

今年のミラノ~サンレモというレース、私はそこにロードレースの奥深さを感じた。

先述した随所随所の判断や、展開の移り変わり。

それだけではなく、機材選択というところもレースの勝敗を分ける。

 

2018年最初のモニュメントでここまでのレースが見れたのは幸先が良い。

今後のクラシックシーズン、さらに期待できると言えよう。

 

 

 

挨拶・2017WT最強機材はこれだ

始めまして。鏡見というものです。

当ブログは主にWTの自転車レースを数字と共に読み解いていきます。

 

はっきり言うとこの堅苦しい文章は苦手なので、記事はいわゆる『~だ、~である』といった文章になります。

 

前置きはさっさと終わるとして。

 

まずは手始めに去年の話からしていきましょう。

それでは参ります。

 

 

 

 

 

 

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